Hip Hop 50 Happy Birthday

アメリカ・NYブロンクスで発祥したHipHopの歴史から今年で50年を祝い、アメリカではストリートからスタジアムまで歴代活躍してきたラッパーやダンサーが勢揃いしパフォーマンスを展開していたようだ。

日本でもヒップホップの恩恵を受けて活動しているDJやラッパーたちもそれぞれ自分の思いを表現している。

 

自分なりにヒップホップとの出会いと思いを感謝を込めて書いてみることにしてみた。


自分は3歳の誕生日におもちゃのドラムを両親からプレゼントしてもらってから13歳で初めて本物のドラムに触れると、22歳までバンドを組みドラムを叩いていた。好きなドラマーはビリー・コブハム。それからレニー・ホワイト、ハーヴィー・メイソン、スティーヴ・ジョーダン、スティーヴ・フェローンが特に大好きになった。気づいてみると不思議とアフロ・アメリカン系のドラマーばかり。

ソロアルバムをリリースしているドラマーの作品から、徐々にソウルやR&Bやファンクばかり聴くようになっていった。

 

自分が初めてヒップホップに触れたのは、1980年カーティス・ブロウ「The Breaks」だろう。当時はDISCOでもかかっていた。しかし、当時はヒップホップとは誰も呼んでいなかった。80年代ラップはアフロ・アメリカン系のバンドではお決まりにバンプで挿入されていた。Cameo、ADC Band、Brass Construction、Con Funk ShunやMidnight Starなど色々,,,,, そんな出会いの度に琴線に触れて自分たちもバンドでラップを取り入れ真似事をしていた。1982年Grandmaster Flash & The Furious Five『The Message』をFEN(今のAir Force Radio)で聴いて耳でわからない英語を覚えてはラップしていた。宴会や集まりがあるとどこでも構わず出鱈目に覚えた『The Message』を披露していた。19歳の時だ。特にMelle Melのラップはどのラッパーよりも心に響いた。彼の声色を真似すればするほど人からは「あの人やってるの何?バナナの叩き売り?」と言われていたのがぼくのヒップホップの原点だったかもしれない。ただ当時はヒップホップなんてのはレコードを擦る擬音語としか思ってはいなかった。

彼らは自分たちをヒップホップというジャンルではなくROCKとして表現していたからだ。

 

自分の解釈では、当時のアメリカのロックバンドがデカいアンプを100個も並べたり、楽器をステージで叩き壊したりするのがロックの最高峰だとしたら、彼らはそれらに対しマイク1本でそれ以上にロックできることを証明して見せていたように映っていた。

ドラムが無ければヒューマンビートボックスで、ギターが無くても古いレコードを擦り。楽器を買う金が無くても家にあるものだけでロックできるのさ!と言う具合に。

 

僕らも中学時代にはドラムやアンプが欲しくても買えず、箱や座布団を集めて叩き、情熱だけでバンドがやりたくてやりたくて毎日集まっていた頃と同じエネルギーを当時のラップに感じていた。

 

そこからGrandmaster FlashとGrandmaster Melle Mel & The Furious Fiveに分かれても発売するレコードは必ず借りてカセットに録音するか買い続けていた。

1983年頃から『Wild Style』が映画で公開され、ラッパーだけでなくブレイクダンサーやグラフィックアーティストが加わり、いよいよROCKでは無くヒップホップという言葉が定着すると同時に商業化されていく。日本でも、いとうせいこうさんや近田春夫さん等がアメリカのラップの勢いを真っ先に取り入れていた。

 

自分は昔からジャンル分けが好きじゃなかった。

 

日本のレコード屋がヒップホップのコーナーを設けるようになってから、かなりヒップホップという言葉に違和感を感じ始めていた。

 

今もヒップホップが一つの音楽のジャンルかのような意味と捉えている人は多い。

 

人それぞれで解釈は自由で良いけどね。

 

だが自分の中では、ヒップホップは精神であってジャンルでないと今も思っている。

 

「楽器が無くてもマイク1本でそれ以上のROCKができるんだ」を具現化したのがRUN D.M.Cの『Walk This Way』だったように。だからと言って決して従来のROCKを侮辱したり優越を競うものでなくリスペクトしている上での表現だからこそ、ヒップホップの精神がそれ以降も受け継がれていった気がする。

既存の曲のサンプリングもJames Brownは率先して著作権関係なく許諾していたとのことだが、90年代になり暴力やドラッグを過激に表現する歌詞がより売れるために増えたことで、その発言を撤回したと聞く。

 

ヒップホップは既得権や現状維持に依存せず世の中を変えていく大きな力と要素を含んでいたものだ。

 

それがそうではなくなった時,すでにヒップホップではない。



Happy Birthday HipHop50 

Peace ,respect and one love