Photo by 許方于
古代インドから伝わる「マハーバーラタ」は聖書の4倍もの長編の叙事詩。
アジアに共通する哲学がそこにはある。
これほどの長さの韻文が作成されている原文は一定のリズムに従って描かれているのでしょう。
物語は神々に通じる一族の対立から滅亡を描いているが、不思議と東日本大震災、新型コロナウィルス、世界政治の情勢や地球規模の環境問題を比喩し現代への警鐘とも思える部分を感じる。
一部をモチーフにした物語やドラマは過去に幾つもあるみたいだが、この全編を舞台化するのは演出家・芸術家の小池博史さん。僕は16年前から彼の作品に魅了されている一人でもある。
完全版マハーバーラタは4部構成になっていて前編『愛の章」後編「嵐の章」を8/20~24中野ZEROホールでの公演となる。
ぼくは連日生演奏で舞台のオーケストラ・ピットからリズムを作り出す役割だ。
人類の歴史の長さや人生を1つの音楽に例えたら、そこで刻むリズムは実に細かく小さい。
公演は全編で6時間に及ぶ。
その中に凝縮されたそれぞれのシーンの細かいリズムは最終的には大きなリズムに変わって行くことを意識している。
面白いのは全編にわたり演者たちのラップ曲が散りばめられ披露される。ラップは時間を跳躍する道具として有効だが、それ以上に5~6ヶ国語が一緒にリレーして時を刻んで行く。
演者はアジアから集められたトップクラスのパフォーマー。それぞれ身体、言葉、演技、表現能力に長けた凄腕の人たちだ。日本、インドネシア、タイ、マレーシア、琉球、更に演者はそれぞれ舞踊、舞踏、バレエ、能楽、狂言と普段では一緒にならない様な技がミックスされ生まれるリズムがとても面白い。
新型コロナウィルスであらゆるエンタテインメントが打撃を受けているが
そんな時だからこそ観て頂きたい作品だ。
スタッフ・出演者含め定期的なPCR検査をクリアしています。
会場で大声を出したり飲食したりすることのない舞台会場にぜひ足をお運びください。
16年前に小池さんの舞台と出会いぼくが感じた「この感動は何なんだろう、一体!」は今も変わらない。言葉や文章では伝えられないからこその芸術なのでしょう。
毎日朝から晩まで稽古中。
ぼくは演奏だから大丈夫だけど演者のみんなは肉体の限界に挑戦している。それは見ているだけでも半端ないハードだ。
そんな彼らの体のコンディションをサポートする為の特設サイトもオープンしたのでチケットと一緒に力になってもらえたら嬉しい!