卒業式を終えた小学生たちが校門から花を片手に親たちと出てくる。近所の小学校の他人の卒業式の光景を見るだけで何だか目頭が熱くなる。
筋力の衰えと共に涙腺も歳を重ねると緩くなる一方だ。
小学三年生の時、休み時間に下級生が遊んでいるもお構いなしに、校庭を独占してサッカーを始めたぼくらは先生たちに直ぐに呼び止められ注意を受けた。納得行かず反抗的な態度も若気の至り、わざとらしく咳払いをしてみると、当時六年生のクラスの担任が駆け寄り頬を叩かれた。
それからと言うもの、その先生が廊下で顔を合わせようものなら逆戻りしたり隠れたり顔を見るのも嫌だったのを覚えている。
ぼくらはいよいよ六年生になり卒業式の当日、式を終え校庭から在校生のアーチをくぐり校門を出る時。先生たちも全員見送るために立っている為、あの先生も当然そこにいる。
ぼくは目を合わせないように抜けようとすると、その先生が近づいて来た。「あの時は痛かったでしょ、ごめんね。」と声を掛けてくれた。
大人になっても忘れない先生の愛情たっぷりのビンタは決して体罰と言う言葉に当てはまらない。
先生が三年間も忘れずにいてくれた事の優しさに今も感動が甦える。
すっきりした気持ちと、もう学校に来れない寂しさで胸がいっぱいになったことを覚えている。
「サヨナラのかわりに」/おはぐみ
「旅立ちのうた」/和田アキ子
そんな出来事を思い出しながら卒業をテーマに詞曲作らせてもらった曲がある。
「サヨナラのかわりに」
テレビ東京系列『おはスタ』で長年歌い継がれ、オリジナルバージョンからカバーを2回も新録されモーニング娘。や、おはガールも歌ってくれた。
「旅立ちのうた」
単に卒業だけでなく人生の旅立ちもテーマにNHKみんなの歌で放送された。