自分にはもう1つの故郷がある

 80年代のディスコ全盛の時代からお世話になっていたものの、直接出会って近いお付き合いができたのが1992年以来、出来上がった12inchやCDは、いつも東京から送らせてもらった。

 博多天神にあるclub Lab-Z REMIX。

 その箱を経営するDJの池田聡司さんはMCにのせて曲紹介を格好良く決めてくれる。


 1997vocalbassの笹本安詞さんとRapと歌のコラボレーションで一緒に作った曲「ミモザの咲く頃」は三宅裕司さん主演「サラリーマン専科」の主題歌に選ばれた事もきっかけとなりレコード会社が全国CPを組んでくれた。勿論博多へ行った際はDJ聡司さんのところへ顔を出して曲を聴いてもらう。


 当時Clubでは日本語の曲は今ほどかけ易くなかった。でもそんな中、曲を気に入ってくれた聡司さんは毎日「ミモザの咲く頃」をかけてくれていた。


 誰も知らない曲は最初は盛り上がる時間にはかけられない。それを少しずつ馴染みの曲になるように浸透させてくれたのだ。4年間かけて。

 


 2001年、曲はclub Lab-Z REMIXの週末営業のラストを飾る大盛り上がりの曲にまで育ててくれた。


 この目で見るまでは信じられなかった。知り合いからも、「凄いことになってるから博多へ行かないと!」と言われ、遂にゲストに呼んでもらうことが決まり。ダンサーと一緒にライブが実現した。


 その勢いで異例のレコード会社から再発のオファー。リリースから4年が経つにも関わらず福岡を始め九州でCPとなった。


 ラジオやTVをきっかけに曲がブレイクするのも難しい時代、博多のclubから発信して全国に波及させてくれた。


 多い時には毎月、毎週のように足を運んだ事もあった。その度に掛けてくれた言葉は「工藤ちゃん、おかえり」その言葉が何より嬉しかった。


 店の入口からいつでも笑顔と活気があった。まるで80年代のDisco全盛期から何も変わらない活気が。音も心地よく長い時間大きな音の中に居ても疲れない。元気をもらえる場所だ。


だからこそ当然常連も多い。いつも馴染みの顔ぶれと触れ合い、古き良きものと新しいものを発見できる憩いの空間。


 行けば必ずLab-Zスペシャルドリンク、通称”ラボスペ”を注文するのが楽しみだった。

 店が終わっても余韻は次の日もまた次の日も残したまま東京へ帰り、その思いはいつしか懐かしさにも変わる。

 また次はいつ行けるかなぁ、、、と。


 聡司さんの人柄とDJスタイルから発信される音は天神から九州全域へ、そして全国へ光を放ち、みんなを幸せにしてくれる、そんな場所は今時何処を探したって見つからない。


 それが新型コロナウィルスの影響で営業が長いことできず、11月いっぱいで閉店となってしまう。悲しいニュースだ。


 今までだって数多くの困難と逆境を乗り越えて来たはずの聡司さんには僕らが思ってる以上に辛く迷った末に勇気のある決断を迫られたことだと思います。


 発表される時には、ぼくらには一切の迷いを見せず新たなスタート地点に立っていることを意思表示してくれている。


 言葉にならない思いでいっぱいだけど、振り返れば唯々感謝の思いでしかない。


club Lab-Z remix 一生忘れられない場所だ。


本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。



 club Lab-Z REMIXで得た沢山の出会いと力をこれからも大切にしたい。